Mavic R-SYS SLRを履いて走ってきました。
「インプレ」だなんて偉そうなこと書きましたが、モノの違いがあまり分からない人間の書くことですので「感想」と訳してください。
まずは一言。
めっちゃエエぞ、このホイール。
「貧脚のくせに偉そうに高級ホイール履いてんじゃねー!」と言いたくなる方もいらっしゃるでしょう。
違います。
このホイールは「貧脚だからこそ履くべきホイール」なのです。
インプレだの感想だの適当に書いても良く分からないと思うので、
実際に「十三峠」と「葡萄坂」を走ってのタイム・出力等のデータをまずは見ていきましょう。
なお、過去の走行時のデータが出てきますが、その時の機材環境はコチラを参照してください。
今回の機材は基本的には上記機材環境からホイールがzondaからR-SYS SLRに変更になっただけです。
①十三峠
今年に入ってからのベストタイムは16分55秒。
その時の出力等は下の通りです。
さて、それでは今回「R-SYS SLR」を履いてのデータはこちら。
タイム:16分46秒(9秒更新)
②葡萄坂
今年に入ってからのベストタイムは15分9秒。
その時の出力等は下の通り。
今回の走行データ↓
タイム:14分39秒(30秒更新)
葡萄坂に関しては実際の走行時の動画も↓
※アクションカメラが15分までの動画しか撮れないので、尺が収まって良かったです。
■2つの峠を走っての感想
まず、以前の走行データと比較という形を取っていますが、
気温、服装、体調などもろもろ環境は異なっていますので、単純に「ホイールをzondaからR-SYS SLR」に変更した結果、というワケではありません。
が、登りに関してはzondaレベルのホイールからの変更であれば、間違いなく速くなります。
まず、やはり圧倒的に軽いです。
「ギア○枚分軽くなる」という表現だと少し微妙なところですが、
同じ出力を出すのに対して、足への負担が軽くなる、という感じかと思います。
ヒルクライムって結局「疲労の蓄積との勝負」ですので、足の疲労が軽くなる分、結果としてタイムは速くなります。
あと、足への負担が軽い分余裕が生まれて、ペダリングを丁寧にすることができる、という効果もあると思います。
今まで履いていたホイールよりも「ペダルを回す」ということを意識してできるようになりました。
上の十三峠の走行データを見ると、
タイムは速くなっているのですが、
出力に関しては10wも低いんですよね。でも、タイムは縮んでいる。
これは単純に「重量」の効果があると思います。ヒルクライムは重力との勝負ですので、軽くなった分タイムが縮まったということかと。
あと、ペダリング効率、わずかではありますが数値が上がっています。
これは上で書いた「足への負担が軽い分ペダルを回す意識が持てた」というところの効果かと思います。
ホイールの性能というか特徴としては、
「速くなる」というタイプのものではないと思います。
「10の入力に対して15の出力を返してくれる」ということではなく「10の入力で10の出力が返ってくる」という正直な性能です。
ただ、入力に対する足への負担がかなり小さい。なのでヒルクライムに関してはタイムが縮まる。
「速くなる」というか、その負担の軽さゆえに結果として「早くなる」という表現がなんか個人的にはシックリきます。
以下思いついたことを諸々
■ロングライド向きである
いたるところでR-SYS SLRの説明に「ヒルクライム用」という言葉とともに「ロングライド用」という表現も結構見ましたが、
ホントこれ。
上に書いたように足への負担・疲労がものすごく軽くなります。
先の峠での実走の後に平地もかなり走ってきましたが、あまりの負担のなさに、
「いつもはこんだけ踏んでたらこんだけ疲労しているのに」と思いながら走っていました。
サイコンで表示されるTSSの値と実際の疲労の間にギャップが生じる感じです。
なので、いつまでも楽しく走れる、そういうホイールだと思います。
自分は自転車旅行が結構好きで、連休中とかは数日間を毎日150~200kmくらい走ってアチコチ回ったりしています。
ただ、長距離で疲労が貯まってくるとやはり走ってても楽しくなくなってきます。
そんな時にもこのホイールなら足への疲労を軽減することができて、ロングライドも楽に楽しく走れるということが可能になるかと思います。
※追記※
先日の連休中に、大阪から山口の実家まで自走で帰りました。
距離は合計440km。一日220kmずつ走りました。
二日連続で200kmオーバーを走ったことは今までなかったのですが、
特に問題なく走りきることができました。
二日間の獲得標高は2000mほどだったので、登りもそこそこあるルートだったのですが、
意外なほど脚への疲労感はなかったです。
終始、一定ペースで走ることができ、
二日目の後半はトレーニングのためと思い出力を上げて走ってみるなど、かなり余裕がありました。
おそらくこの疲労感の少なさもR-SYS SLRのお陰かと思います。
軽くペダルを回せるため脚への負担が、平坦・坂でもかなり小さかったです。
というか、二日間とても楽しく走り続けることができました。
やはり、ロングライド向けのホイールだなと再確認しました。
自転車旅行、ブルベが好きな方には本当にオススメできます。
■高速巡航について
分かりません。
ていうか自分はもともと平地を速く走ろうとはあまりしませんので。
よその情報を見ると、その太めのスポークのせいか、やはり高速域での巡航はそんなに得意ではないみたいですね。
■ブレーキについて
めっっっっちゃウルサイ。
エグザリットブレーキシステムによるその制動力の高さを売りにしているホイールなわけですが、
事前情報としてブレーキの際に「爆音」がするという情報は見ていました。
ただ実際に走ってブレーキをかけてみると「キュイイイイーーーン」という少し高めの音しかしませんでした。
「ん?これが爆音か?むしろ小気味よい音じゃん」と思っていましたが、
下りで強めにブレーキをかけると
キイイイイイイイイイイイイイッッッッ!!!!!!!
ととてつもない音が発生しました。
これはアレです。まったく整備していないママチャリが急ブレーキをかけた時にするあの音です。
こ、この音は流石にちょっと……
爆音発生させながら峠を下って行くと、すれ違う他の自転車乗りの方がみんな「え?大丈夫なん?それ」みたいな表情でコチラを見てきました。
うん、これちょっと嫌です。
どんな音か興味がある方は下の動画をご覧ください(音量注意)
ね、ウルサイでしょ?
ただ、確かに制動力は抜群でした。
上の動画は六甲山から下るところなんですが、
ここ怖いんですよね、下るの。
斜度は相当あるし、また減速帯があったりして結構跳ねたりするので、毎度おっかなびっくり下って行ってます。
ただ、今回はまったく怖くなかったです。
こちらの意図通りにしっかりと減速してくれて、「思いの外スピードが出てしまう」なんてことはありません。
あと、カーボン製のスポークのおかげでしょうか、地面の凹凸による衝撃もかなりマイルドになります。
上に書いた減速帯のところとか斜度がかなり急な上に凸凹で車体がかなり跳ねるので個人的にかなり怖い箇所なんですが、
そこを下る時も「スピード落とせて」「車体も安定して」まったく怖くなかったです。
かなり良いブレーキ性能だと思います。
※追記※
数百kmくらい走りこんだところ、爆音の音鳴りはほぼしなくなりました。
リム側のギザギザが削れてこ慣れてきたためか、ブレーキパッドが削れてちょうど良い形状に落ち着いたためか、どちらかは分かりませんが。
何しろ現在はブレーキ音に関してはまったく気にならなくなりました。
■「硬い」のか?
マヴィック r-sys slr の他の方のインプレを見ると
「硬い」「脚にくる」
という感想が書いてあったりしました。
それを見て「?」となりました。
剛性はもちろんあるのでしょうが、特別脚に疲労が貯まるということは個人的にないです。
おそらく、「硬い」「足が疲れる」と書いた人はかなり「踏んでる」のじゃないでしょうか。
ロード乗り始めの頃に、平地でギアを軽くするとお尻が跳ねてた経験って皆さんないでしょうか?
綺麗に「回す」ペダリングができていないと、下方向に思い切り踏んでしまってその反動でお尻が跳ねます。
重いギアだとペダルに抵抗がある分そうした現象は起きにくいのですが、ギアが軽くなるとペダリングの下手さに誤魔化しが効かず、結果として下に踏みつけてしまいます。
そして下に踏みつけていると当然脚に負担が掛かり疲労が貯まります。
軽いホイールにすると同じ現象が発生するのだと思います。
→R-SYS SLRという軽量ホイールに変更することでペダリングが軽くなる
→上手く回せてないので下に踏みつけてしまう
→「硬い」「脚に負担が掛かる」と感じる
ということなんじゃないでしょうか?
まぁ自分もペダリングが死ぬほど下手くそでかなり下方向に踏んでたりしてるのですが、
それでも「脚にくる」という感じはありません。
むしろR-SYS SLRという軽量ホイールに変えたことで「回す」ペダリングを少し意識できるようになりました。
インプレって個人の乗り方・感じ方でかなり意見変わってきますからね。
どんな人が書いているのか、という点も見ながら参考にするべきでしょう。
■ヒルクライムレースで「勝負」できるホイールか
できます。
自分のようなプアなエンジンでも、
・乗鞍、大台ヶ原で上位10%
・地方のヒルクライムレースで表彰台
は達成できました。
→「十三峠ヒルクライム 15分台突入」
→「六甲山ヒルクライム 40分切り」
→「マウンテンサイクリングin乗鞍2018」
→「ヒルクライム大台ヶ原2018」
→「板鍋山ヒルクライム 3位」
→「ちくさ高原ヒルクライム Bクラス 5位入賞」
→「ツール・ド・ゆう 年代別2位」
■見た目
くっっそカッコイイ。
■まとめ
R-SYS SLRはやはり「速く走るためのホイール」ではないと思います。
「足への負担を軽くして楽しく走れるホイール」というのが個人的な印象です。
そして足への負担が軽い分、結果として「登りが速くなる」というやはりヒルクライム用ホイールではあります。
最初に「貧脚だからこそ履くべきホイール」と書きましたが、
ブレーキ性能の良さとあわせて、「足への負担の軽さ」この特徴こそが貧脚用だと書いたゆえんです。
ヒルクライムやロングライドが好きな自転車乗りの方には本当にオススメのホイールです。
でも爆音だけはホント勘弁な。
コメント
よくわかりました! 実は自分もRsysを装着していました。それが路地から飛び出してきてママチャリにぶつけられてフロントのスポークが破損。保険で全額保証を受ける事ができ自転車屋さんと相談し後釜はマビックキシリウムプロカーボンにしました。このホイールはヒルクライム能力もあるけどさらに高速での伸びもRsysに比べるとよいとのことで変更を決意しました。そしてキシリウムカーボンではRsysでは味わえなかった速度の伸びを体験することができました。しかし①ヒルクライムのタイムがRsysに追いつけない、②雨の日の制動が全然悪いの2点でRsysに戻すことにしました。マビックによると手元にある最後の一本だそうです。再装着するのがたのしみです。
伊藤 伸介 様
返信できておりませんで申し訳ございませんでした!
ママチャリに!災難でしたね…
まぁおケガがないようでしたら、それが一番ですが。
RsysSLRはやっぱり、リムが軽い分ヒルクライムには相性良いのだと思います。軽くて脚も残せますので、その分登りのタイムは良くなるのでしょうね。
ただ、平坦はやっぱり伸びない感じですよね。だから自分は逆にリムが高いホイールが気になってきてます。
もう何年もこのホイールだけしか使ってないので、他のホイールに変えたら走りの違いに感動できそうな気がします笑