減量してもヒルクライムは速くならない




体重が●kg軽くなると登りで●秒速くなる


という言い方がよくされますが
実は自分はちょっとピンと来てません


減量(ダイエット)
がヒルクライムにおいて有利に働くのは
間違いのない事実ではあるのですが


「体重軽くなったら速くなる」

という表現は、なにかシックリきません



というのが、
「体重」は「速度」を決定する直接の要因ではないからです
まぁ当たり前なのですが


では、何が自転車の「速度」を決めるのか



「パワー」

でもありません



自転車の速度とはそもそも
「ホイールが時間当たり何回転するか」
を意味するものであり、
それを決定するのは
「ギア比」

「ケイデンス」
だけです



今さら不要な解説ですが、検索対策のために一応書いておくと↓

ギア比:
クランク一回転でリアホイールが何回転するかの数値
前ギアの歯数を後ギアの歯数で割ることで算出される
前56T、後28Tならギア比は2であり、
クランクを1回転させるとリアホイールは2回転する

ケイデンス:
クランクを回転させる速さを表す数値
通常は1分間あたりの回転数(rpm:rotaions per minute)を指す
1分間にクランクを100回転させれば100rpmとなる




同じギア比でケイデンスを上げると速度は上がります
同じケイデンスでギア比を上げると速度は上がります


ようするに
ホイールをどれだけ回転させるか
によって速度は決まります


「パワー」というのも
特定のギヤ比/ケイデンスで
ホイールを回すために必要なエネルギーを数値化しただけにすぎません


あえて言いきってしまえば
パワーも体重も
直接的には「速度」とは一切関係ありません



どのギア比で
どれくらいのケイデンスで回すか
これが「速さ」を決定する直接の要素です



では、体重が速さに関わるというのはどういうことなのか

なぜ体重が軽くなるとヒルクライムが「速くなる」と言われるのか


自分は
「体重を軽くする」というのは
「ギア比を上げる」行為だと思ってます


体重が軽くなると坂を登るのが楽になるというのは
体感的にお分かりかと思います。


同じ坂を
同じギア比で登ったとしても
体重が軽くなれば、その分楽になります。

じゃあ、それでタイムが速くなるか
と言えば、
そういうワケでもありません


体重が変わったとしても
同じケイデンスと同じギア比で踏んでるのであれば
時間当たりのホイールの回転数(=自転車が進む距離)は同じなワケですから、
速度自体は変わるハズありません


体重が軽くなることで何故速くなるのか、
それはギアを重くすることができるからです



ギア●枚軽くなった
という表現がありますが、
体重が軽くなることにより、
自転車を前へ推進させるために必要なエネルギーは小さくなりますので、
その分ギアを重くすることができます。


例えば
同じ300wで踏む場合でも
30Tで回していたところを
体重が軽くなれば
28Tで回せるようになる

だからギア比(ホイールの回転数)が上がり
速度も速くなる




体重を軽くすることで得られるメリットはあくまで「省エネ」であって
その省エネした分を推進力に充てることで、
はじめて速さに繋がっていきます


ちなみに今回は、
減量は「ギア比を上げる行為」と書きましたが、
これはそのまま「ケイデンスを上げる行為」とも置き換えれます。
ギア比が固定ならばケイデンスを上げれば速度は上がりますので。


ただ、ケイデンスって上限値があるような気がしてまして
自分の場合、登りの時のケイデンスの上限は100rpm前後な気がします。
平地では110~120rpmで普通に回してたりしましたので、
登りでもそれくらいで回せるかと思っていましたが、
平地と登りのケイデンスの上限値はまた違うみたいです。
ポジション・使用する筋肉が違うからなのか、明確な理由は分かりませんが。

という感じで、
ケイデンスに上限があるのであれば、
あとは「ギア比を変える」という選択になってしまいますので、
自分の場合は
「減量=ギア比を上げる」
という表現になります。




以上が、
自分が考えるヒルクライムにおける減量の効果です。


減量しても楽になるだけで、速くはならない。
楽した分ギアを重くすることで、はじめて速さに繋がる。

という感じでしょうか。



あとは
「減量すると斜度が緩くなる」
という表現もニュアンスとして結構近いような気がします。
(実際に斜度が変わるハズはないので、あくまで体感の話ですが)




自分は前ギアをコンパクトクランクにしたり
スプロケットを30Tまで大きくしてみたりと、
「いかに軽く回すか」ということを今まで考えてきたのですが、
ある程度速さを求めるとなると
「いかに重いギヤを我慢しながら回すか」
という部分に行き着くような気もしてます。


実際、
軽いギアで高ケイデンスで回すよりも、
多少ケイデンスを落としてでも重いギアを無理して踏んだ方が
峠のタイムが良かったりします。


ギアの選択、
軽く回すか、
重く踏むか、
こうした部分はいまだに試行錯誤したりしてて
何が正解か、まだまだ分かってないのですが。
まぁ分からないからこそ楽しめてる、というのもありますが。



今回は
「減量してもヒルクライムは速くならない」
という
ヒネクレたタイトルの記事を書いてみたかっただけで、
内容としては「何をいまさら」な感じですが。


ただ、
ロードバイクの速さを規定する要素として
エアロ、剛性、重量、転がり抵抗、パワー
など様々な言葉が巷では溢れているワケですが、

ヒルクライムにおける速さというのは
結局のところ、
「ホイールを何回転させるか」
という大変シンプルな言葉に集約されます。


色々な情報に振り回されるというのも
まぁ趣味を楽しむ上での面白さのひとつだとは思いますが、
ヒルクライムにおいては
「そこまで深く考える必要はない」
という部分もあり、
メンドクサがりな自分にはやはり性に合ってるのだなと思います。

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