みなさんは「道路」と言えば「何号線」を思い浮かべるでしょうか。
自分にとって道路とは
国道2号線
です。
実家は国道2号線沿いにあります。
山口県内にある故郷の小さな町を東西に走ってるのが国道2号線であり
北南方面には大きな道路は通ってなかったので
基本的に車でどこか別の街に行くとなると
国道2号線を通ることになります。
「移動する」となると、ほぼ国道2号線を通ることになり
子供時分は「道」とはすなわち国道2号線を意味してました。
大学生になると、
故郷とは離れた街で一人暮らしを始めることになります。
親元を離れ、知り合いなど一人も居ない初めての街で暮らすことに
なにか不安と心細さを感じたものですが、
なんとその街にも国道2号線が通っているのです。
遠くに来たと思ったのに
生まれてからずっとすぐ傍にあった2号線がここにもある。
この道をずっと辿って行けば故郷に着くのか、
そう考えると心細さも少し紛れました。
大学卒業後、
就職して大阪に住むことになります。
縁も所縁もない都市、大阪。
と思ったらやっぱり国道2号線が走ってます。
というか国道2号線の始点がこの大阪です。
「結局俺は2号線から逃げられないのか」
なんとなく妙な因縁を国道2号線に感じたものです。
さて、
今回その国道2号線を自転車で走って
実家に帰ることにしました
距離としては400kmちょっとになるはずです
以前にも一度やったことはあるのですが
その時は倉敷あたりで一泊して
2日間で走り切りました
今回は走るにあたり
「宿泊せずに走り切れるか」
ということも挑戦してみようかと思いました
距離400km超えですので
時間としてはおそらく24時間は掛かる気がしましたので
となると絶対に夜中にも掛かるわけですが
眠らず夜通し走る
そんなことも一度やってみようと思いました
ですので、出発時点では宿の予約などももちろんしてません
まぁ最悪、体力の限界着て走れなくなったら
スマホで近場のビジネスホテルなどを探せば良いや、
という風に気楽に考えていました
あまりガチガチに計画を立てず
その場その場でどうするか考えたらいいかという
結構ユルユルな構えです
出発当日、午前7時くらい
スタート地点である国道2号線の始点に
「梅新」の交差点です
国道1号線の終点であり
国道2号線の始点にもそのまま繋がっている交差点です
キャノンボール(東京~大阪間を走り切ること)を
される方にとってはお馴染みの交差点でしょう
実はこの前日には梅新交差点からすぐの大阪を代表する某歓楽街で遊んでました
つい何時間前に酔っぱらってこの辺りをフラフラしてたのに
今は自転車乗って400km走ろうとしてる状況がなんとなく面白かったです
まぁそんなことを考えながらとりあえずスタート
前述のとおり実家は山口の2号線沿いにありますので
当然この2号線をひたすら西へと走ることになります
途中、自動車専用道になってるバイパス区間などは
もちろん迂回することになりますが
迂回後も2号線へと合流するように進行しますので
まぁ「ほぼほぼ」2号線だけを走る、ということになります
野田駅を右手に曲がって神戸へと向かいます
自分が六甲山を登りに行くときは
ここからいったん西宮へ向かいますので
ほんと飽きるほど何度も走った道です
とりあえず神戸を通過
明石に到着
近々淡路島にも走りに行こうかと思っています
加古川あたりのコンビニで一旦休憩
10月になったのにまだまだ暑く
いまだに補給食にガリガリくんを食べてます
写真真ん中の白い粉はBCAAです
ボトルに水入れて溶かして飲んでます
姫路
この時点で90kmくらい
ここから引き返せば往復180kmほどになりますので
自分的には体力的に無理のない一日に走れる距離になります
まぁ今回はそのまま西へと直進しますが
コンビニで補給
最近はコンビニでバナナ売ってるので重宝してます
(一本百円くらい)
岡山に到着
大阪、兵庫と走ってきて3つめの県に入りました
その後、17時くらいに倉敷へ到着しましたが
この時点で結構疲労してましたので
ちょっと休憩もかねて寄り道をすることに
古い町並みが保存されている
美観地区へと行ってみることにします
実は美観地区へは初めて行ったのですが
とても綺麗で雰囲気のある街並みです
すでに夕方になってお店なども閉まり始めていましので
他の観光客も少なく、落ち着いて散策できました
その後、再出発するのですが、
この時点で体力的に結構アヤシイ感じになってました
なんだったらこの倉敷で一泊しても良い、
くらいに思ってしまう疲労具合でした
ただ、行程としては
大阪からまだ200km未満の地点
つまり半分も走っていません
まぁもう少し走ってからどうするか考えるか…と思い
とりあえずは走り始めます
ジョイフル(入ってはない)
全国にファミレスのチェーン店は数多くあるかと思いますが
おそらく中国地方、九州の方にとってなじみ深いのは
このジョイフルじゃないでしょうか
自分の地元にもありましたし
他のチェーン店と比べると値段がかなり安くコスパ最強です
その後、広島県に突入し
自転車乗りの聖地、尾道に到着
時刻は22時ごろ
ここでいよいよ限界を迎えつつありました
疲れた
ケツが痛い
膝が痛い
普段膝が痛くなることはないのですが
ケツが痛いために
腰を浮かしてダンシングを多用してしまい
慣れないダンシングで踏み続けることで
膝に負担が掛かってしまったようです
というか
何より眠い
休憩にベンチに座っていたのですが
気が付いたら目を閉じて眠ってしまってました
やばい…
ちょっとここらで判断しないといけないな…
当初の予定としては
夜通し走り切って山口へ向かうつもりでしたので
途中で宿泊するつもりもありませんでした
ただ、今の身体の状況を考えると
ちょっと厳しい
走れなくはない、
が、
かなりシンドイ
どうしようかな…
と悩みつつ、地図を眺める
10数kmくらい先には三原市があります
三原は結構栄えててお店や宿泊施設も存在します
とりあえず三原へ行くかと
重い腰を上げて、三原へと走ることに
三原に到着
時刻は23時過ぎ
大阪から約270km
ここが最終判断ポイントだな
あらためて地図を見る
次の大き目な町としては東広島になるわけですが
この三原から東広島までの行程が結構鬼門です
今までは結構市街地の中を走ってきましたが
ここから東広島までの40kmくらいは
山の中を走ることになり
休憩する箇所もほとんどなく
また、アップダウンが結構ある道になります
走れなくはない
ただ、結構リスクが高い
走り慣れてない山の夜道を
このフラフラの状態で走るのは危険だし
パンクなど発生したら心が折れる
気温も深夜でかなり下がっており
寒い中で立ち止まってパンク修理するのはちょっとゴメンだ
ずっと市街地を走るならまだしも
これから真夜中に山の中を40km走るのは
止めておいた方が良いな…
そう思い、夜通し走る計画は中止して
一旦宿泊施設で休むことにしました
ということでスマホで近隣の宿泊施設を探す
23時過ぎてても予約できるホテルが結構ある
三原すげぇ
三原駅前で休憩していたのだが
その駅前すぐのところにビジホを発見
とりあえず電話してみる
するとチェックインは25時までOKみたいで宿泊可
おまけに自転車も室内に持ち込んで大丈夫とのこと
ありがたい
ということで今日は三原駅前のビジホに宿泊
値段も3000円ちょっとでかなり安かった
ホテルの部屋に入るとシャワーだけ浴びて速攻寝る
目覚ましもセットせずに寝た
無理に早起きしても回復できないだろうから
自然に目を覚ました時に出発しようと考える
翌朝6時頃に起床
寝たのが0時過ぎだったから
6時間近くはしっかり眠ったか
疲れはもちろん残っているが
それでも昨晩とは雲泥の差
外を見ると快晴
というか多分日中は暑くなるくらいか
7時前に宿を出る
コンビニで朝食
その後再出発
走りだすと少しマシになったとは言え
相変わらずケツと膝が痛い
ただ、残りは140kmくらい
まぁ走れるのは走れるかと思う
三原~東広島の区間は
やはり当初思っていたように
登り下りが多い結構な難所
昨日夜中走ろうとしなくて良かったな…
と自身の昨日の判断に胸を撫でおろす
東広島に到着
赤い瓦屋根が東広島の象徴
この東広島市の西条町は
自分が大学生活の4年間を過ごした町でもある
ああ、懐かしいなぁと思いながら町中を走る
ところで、
2号線の道路沿いには
随所に「距離標」(キロポスト)が立っている
2号線の始点から何km地点かを示す看板だ
この距離看板を見ることで
大阪からどのくらいの距離を走ったかが分かるようになっている
で、この東広島で
300kmの距離看板を発見
おお、自分がかつて過ごした東広島がちょうど300km地点だったか
と少し感動
300kmかぁ
結構走ってきたなぁ
特に大きなトラブルもなかったし順調だな
パンクも一度もないし
とか思ってると
一定間隔で
「シュー」「シュー」「シュー」
と音がする
ほい言ってるそばからパンクきたー
これは間違いなくタイヤになんか刺さってるな
そう思ってタイヤを確認すると
後輪に釘が刺さっていた
うーん、絵に描いたように釘が刺さっとる
このまま走るわけにもいかないので
とりあえず釘を抜く
シューーーー
と空気がすべて抜ける
まぁ仕方がない
とりあえずチューブ交換しよう
その後チューブを交換
タイヤには穴が開いてるわけだが
コンビニでテープを買って
内側に厚手の紙を当てて貼り付けておいた
これでとりあえずは大丈夫だろう
で、空気は携帯ポンプで入れるわけだが(Co2ボンベ持っとけ)
まぁ簡易ポンプでは思うように空気が入るワケなく
感覚的には5barくらいなんとか入ったか?くらい
空気圧かなり低めだが、まぁ仕方ないと思い走りだすと
すぐに天下の「あさひ」様を発見
営業時間前だったが、
店先にポンプが置いてあり、自由に使って良いとのこと
ありがてぇ!
ポンプを借りてあらためて空気を入れる
というかあさひはホント神である
要所要所にあさひの店舗が存在してくれてるので
出先で何か機材トラブルがあっても
とりあえずあさひに逃げ込めばなんとななる
おまけに工賃も安い
普段自分がノンキに走れるのもあさひ様のお陰だ
その後は広島市へ
懐かしの路面電車
ここまで来ると残りは70kmほど
もう少しの辛抱だなと思いまた走る
山口県岩国市
やっと着いた
ここから自分の実家まではもう少し距離があるが
ようやく地元に帰ってきたという感じがある
地元の名勝「錦帯橋」
地元民達は「全国的に有名な観光スポット」だと思い込んでるが
実は全国的な知名度はそんなに高くない
実家まではもう少し
日が落ちてきて影も長くなってきた
さて、
2号線の距離看板だが
道路沿いには相変わらず「大阪から何km地点」と随所に立っているわけだが
その距離を追ってるとだんだんと「400km」に近づいており
また自分の生まれ故郷も近づいてきている
これはもしかして…
と思いながら走ってると
自分の生まれ故郷の町で
「400km」の看板を発見
おお、自分の故郷が大阪からちょうど400kmだったのか!
おそらく何度も目にしたことがある看板だったハズだが
「大阪から400km地点」だという認識で見たことはなかった
今が大阪在住
その大阪から300kmが大学生活を過ごした町
400kmが自分の故郷
と、なにかキリの良い地点でそれぞれ生きてるなと思い
やはり「国道2号線」というものにあらためて因縁を感じた
自分のこれからの人生は
国道2号線の先の国道1号線へと進むことはないだろう
多分ずっと国道2号線の範囲内で生き続けることになると思う
他人から見ると結構狭い範囲の人生だと思われるかもしれないが
自分から見ると案外長く、そこそこ遊べる道だとも思っている